データとは? 情報とは? 知識と知恵の違いを説明できますか?情報デザインに不可欠な4つの意味を整理しました

データとは? 情報とは? 知識と知恵の違いを説明できますか?情報デザインに不可欠な4つの意味を整理しました

今回のLearnTernでは「データ・情報・知識・知恵の違い」を紹介します。

・データと情報って違うの?
・情報と知識は? 知識と知恵は?

そんな人にリチャード・ソール・ワーマンによる分類を紹介します。
言葉の解像度、上げてみませんか?

データと情報の違いは何ですか?

「データ」と「情報」の違い、説明できますか?

何かを伝える上で「データ」「情報」さらには「知識」「知恵」の意味するものを区別しておくことは重要です。
しかし、以外とこの両者の意味、おざなりにしていませんか?

「データ」を伝えて「情報」を伝えた気になっている人。
「知識」を伝えるべきなのに「情報」の伝達で止まってしまっている人。
「知識」と「知恵」の区別がつかず、学習者を混乱させてしまう人。

今回は、「データ」「情報」「知識」「知恵」の違いを、リチャード・ソール・ワーマンの提言に沿って解説していきます。

データ:???
情報:???
知識:???
知恵:???

データ、情報、知識、知恵の意味

著名なインフォメーション・アーキテクト(情報建築家)の一人、リチャード・ソール・ワーマンは理解のスペクトルとして、データ・情報・知識・知恵の違いとその変化プロセスを示しています。

「データ」とは

私たちが日常で最も接しているのはこの「データ」です。世界には膨大な量のデータがあり、また増えています。
1週間の天気や次に電車が来る時間、隣の家の家族構成に正面のパン屋の看板の色。

基本的に1つ1つのデータには価値はありません。
ある学生が今日の小テストで取った点数を知ったとことで何の役にも立たないでしょう。

私たちは日々生きている中で多くの「データ」を生み出し続けています。
が、「データ」のみを伝えることに大きな価値はありません。

Twitterで、今日一日であなたに起こったことを淡々と呟くことに、価値が生まれることは稀なはずです。
データばかり伝えてくるプレゼンターの話ほど退屈なものはないでしょう。
しかしデータと情報の区別がつかないと、無自覚にこのような情報伝達を行ってしまいがちなのです。

「情報」とは

情報」は、「データ」に価値を付加したものです。
例えばデータ間の関係やパターンを抽出して意味づけしたり、文脈の中でデータを提示することで方向付けをしたり、データに価値を与えることで、それは「情報」になります。

電車の到着時間を整理した運行表は、朝、家を何時に出ればいいか教えてくれます。
数学の小テストの結果を分野別・時系列で並べることで、有効な学習計画を考案できるかもしれません。

伝えるべきなのはこの「情報」からです。

ワーマンは「情報」の先も示しています。

「知識」とは

知識」は、複数の「情報」をより役に立つ形に統合・構築したものです。

いわゆる理論やメソッドと呼ばれるものが当てはまるでしょう。
LearnTernのテーマでもある「学習」と最も結びつくのもこの「知識」です。

知識は3つのタイプ、パーソナル・ローカル・グローバルがあります。

パーソナルな知識

パーソナルな知識は一人の人間の中で意味を持つ知識です。十分に構造化されている一方、他者に伝える意味があまりありません。

-隣の犬に吠えられないようにする方法
-自分の家から学校までの道順別所要時間

ローカルな知識

ローカルな知識は、同じ体験や状況を共有する人々に有用な知識のことです。知識基盤を共有している分、伝達コストが低くすみます。

-倉庫の壊れ気味な鍵の開け方
-研究室内で使われる略語・用語
-近所のスーパー別安売りの時間と各品の価格差異

グローバルな知識

グローバルな知識は、より一般的な知識のことです。知識基盤を共通としていない人に対しても伝達可能な知識であるため、その伝達コストが高く、高度に整理・統合されていることが重要になってきます。

一般に「知識」と呼ばれるもの多くがグローバルな知識に当てはまるでしょう。

「情報」の伝達以上に価値があるのがこの「知識」の伝達ですが、当然その難易度も上がります。
詳しくは後の章を参考にしてください。

「知恵」とは

最後「知恵」は、「知識」に対する深い理解から得られる極めてパーソナルなものです。
いわゆる暗黙知と呼ばれるものでもあり、他者と共有することはできません。自分自身で取得するしかないのです。

価値は最も高く、「知識」以上の対応力や適応力を発揮できるのが「知恵」のレベルです。
熟達者と呼ばれる人は、高度な知恵を保持していることがほとんどでしょう。

「知恵」に関しては、直接の伝達はできない(言語化できない)ため、知恵の取得を促進する、という形を取るしかありません。
知恵を得られるような機会(反復の実践や試練)をデザインすることが焦点となるでしょう。

以上、データ・情報・知識・知恵の違いを説明してきました。
ここまでは大丈夫でしょうか?
理解が難しければ、いろいろと具体化して、4つのどれにあたるものなのか考えてみてください。

データ:単体では価値のないもの
情報:価値が付加されたデータ
知識:情報を統合したより役立つ形にしたもの、3タイプある
知恵:暗黙知

データから情報、情報から知識への変換プロセス

ここからは「データ」から「情報」、「情報」から「知識」への変換について解説していきます。

「データ」から「情報」

まずは「データ」から「情報」を作り、伝達する手段についてです。

そのステップの核にあるのは「整理」。
そのままでは無秩序なデータを整理することで価値を創出します。

整理の視点としては「LATCH」というものがあります。これは以前にLearnTernでも紹介しましたので、そちらの記事をご覧ください。

もう1つ必要なのが「意味付け」です。
データには「方向」がありません。なので「方向」を与えてあげましょう。

メッセージ(何を伝えたいのか)、文脈化(何が前提となっているのか)を明確にして加えることで「情報」としての価値が生まれます。

「情報」から「知識」

次に「情報」から「知識」です。
変換方法は、より役に立つ形にするために複数の「情報」を統合していくことになります。
いわゆる「理論化」のプロセスといえるでしょう。

難しいのはその伝達です。

「情報」と同じように伝達するだけでは、その「知識」を取得(学習)することはできません。

ここで重要になるのが「体験」のデザインです。

知識の取得(学習)は、能動的に情報を統合していくプロセスを経て成立します。
よって「知識」を本当の意味で伝達するためには、学習者がその「体験」をしやすいようなプロセスをデザインしておく必要があるのです。

具体的な方法論に関してはここでは書ききれないので、またの機会としたいと思います。

データと情報、知識の違いを理解して「伝わる」デザインを

今回は、データ・情報・知識・知恵の違いを学んできました。
どうでもいいことのようにも思えますが、「伝える」ことに携わる人であれば一応知っておきたいことです。

また一流の学習者を目指す上でも知っておいたほうが良いことだと思います。

ちなみに、私が初めてこの「理解のスペクトル」を知った時はテンション上がりました。
こういうの好きなんですね(同族の方はTwitterのフォローを)。

では、データと情報の違いを意識できる人に、なりましょう。

 

データ・情報・知識・知恵の違いを誰かに説明しよう

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