文と図、これはどっちで表現したほうがいいんだろう?
スライドや報告書、学習ノートを制作するとき、「ここって文章のほうがいい?図解したほうがいい?」ってなるとき、ありませんか?
最近は図解界が盛り上がっていますね。
図解できることは間違いなく価値です。
でも1つ。
図は文の上位互換ではありません。
グラフは式の上位互換ではないでしょう?
今回のLearnTernでは、文や式などの「線的表現」と図や絵などの「空間的表現」について解説していきます。
情報伝達の種類-即時的伝達と記述的伝達
そもそも「情報伝達」というものは大きく2種類に分けることができます。
「即時的伝達」と「記述的伝達」です。
即時的伝達とは
休み時間、隣の席の友人に情報を伝達したい時、どうしますか?
多くの人は「話しかける」という選択肢をとることでしょう。
「会話」によって私達は瞬時に情報を伝えることができます。
その会話の5分後、トイレに行っていたもう1人の友人が帰ってきました。
その友人にも同じ情報を伝達したい時、どうすればいいでしょうか?
もう1度、会話をする必要がありますね。
さっきの会話時に送信されていた情報はすでに消えてしまっていますから。
このように、「時間的経過」によって情報が消える、変化する伝達の形式を「即時的伝達」といいます。
すぐ伝えられる代わりに、時間が経つと失われてしまうのです。
他の即時的伝達の手段としては以下のようなものがあります。
狼煙、歌、手旗、ジェスチャー、手話、光信号、モールス信号
記述的伝達とは
もし先生からクラス全員に伝えなければならない情報を託されたらどうしますか?
現状、クラスメイトは芸術の分割クラスでばらばらになっています。あなたは昼休み中にその情報を全員に伝えなければなりませんが、昼休み中の教室に全クラスメイトが揃う瞬間がないことを経験的に知っています。
頭を抱えたあなたの前には黒板とチョークが。
「そうだ!黒板に文で書いておけばいいんだ!」
と、茶番劇をお伝えした所で「記述的伝達」のエッセンス、理解いただけたでしょうか?
記述的伝達は、即時的伝達と比較して、瞬時に伝達できるような形式ではない一方、時間的な制約からある程度開放されます。
文字の発明によって「記録」ができるようになった、というのは人類の強さの一つですね。
記述的伝達の手段としては以下のようなものがあります。
文章、数式、表、グラフ、図、化学式、点字、楽譜、絵、写真、動画
で、今回のターゲットである「文、式、図、絵」はすべて記述的表現になります。
文・式と図・絵の違い
記述的表現も大きく2種類に分けることができます。
端的な違いを述べると、「音声で表現できるか、できないか」です。
文章や式は読み上げることができますが、図や絵はそう上手くいきません。
音声で表現できる方を、「一次元表示(線的表現)」
音声で表現できない方を、「二次元表示(空間的表現)」といいます。
文・式-線的表現
一次元表示の特徴は、その読み取りが逐次的・継続的に行われることです。
昨日は雨だった。今日も雨だ。明日も雨なら学校を休んでやる。なんてことを昨日先生に言ったら宿題を山程出された。
上の文章を読む時、私達は前の文字から順番に読みますよね?
(変な読み方する人はすこし黙っててください)
そうやって順番に情報を受け取っていくわけです。
このような様子から一次元表示は「線的表現」とも言われます。
さらにその特徴から線的表現は「部分から全体へ」読み取っていくことになります。
上の文章の全体像は最後まで読んではじめて理解できるのです。
(例えば「今」はいつですか?最後まで読まないと誤解してしまう書き方ですよね)
図・絵-空間的表現
二次元表示に特徴は、その読み取りが同時的に行われることです。
上の画像を見て、最初どう思いましたか?
「寒そうな所でサンタクロースが焚き火しながら何か飲んでいる」みたいな感じですかね?
これくらいの認識をほぼ同時に認識して理解するのが同時的な読み取りです。
このような表現を空間的表現といいます。
線的表現とは逆に、空間的表現は「全体から部分へ」読み取っていきます。
さっきの画像、全体を一瞬で判断できたと思います。
では、サンタさんのズボンは何色でしたか? ポッドの蓋は閉まっていましたか? 奥の動物はなんですか? 椅子にかかっているのは?
仮に文章でこの画像が完全に表現されていた場合、全体像をつかめる頃にはこれらの情報を全て把握していることになります。
この読み取りの差、「部分から全体」「全体から部分」の差が、文や式などの線的表現と図や絵などの空間的表現の最大の違いになります。
常に図の方が価値が高いわけじゃ
最近流行りの図解は空間的表現ですね。
一瞬で物事を理解できる手軽さが人気の秘訣でしょうか?
一方で細部を表現するのは得意ではないかもです。
また、「論理」を表現するのは線的表現の方がはるかに得意です。
「論理」の場合、情報の順番が大切だからですね。
図の場合でも視線コントロールを完璧に行うことで適用できますが、厳密なロジックになってくると文で表現してしまったほうがいいでしょう。
式とか、まさに論理を洗練させたものです。
それぞれ、得意なことと苦手なことがあります。
上手く使い分けてあげましょう。
線的表現と空間的表現を使い分けよう
- 情報伝達には「即時的伝達」と「記述的伝達」がある
- 文や式は一次元表示(線的表現)、図や絵は二次元表示(空間的表現)
- 線的表現は「部分から全体へ」、空間的表現は「全体から部分へ」読み取る
線的表現と空間的表現という区別を頭に置いておくことで、より表現のセンスが磨かれるのではないでしょうか?
自分がスライドや報告書を作るときもそうですし、他人のものを評価する時にも使えます。
今回はそれぞれの得意と苦手を限定的にしか紹介しませんでしたので、他にも自分で見つけてみてください。
誰かに「文と図の最大の違い、説明できる?」とニヤニヤしながら尋ねてみよう