「名著」は読むべきかどうか。多くの人に薦められる本の理由

「名著」は読むべきかどうか。多くの人に薦められる本の理由

いわゆる「名著」を読むべきか

「名著」。

多くの人に優れていると認められた本。
『坊ちゃん』や『国富論』『資本論』から『ファスト&スロー』など、それぞれの分野で多くの名著が存在しています。

名著の多くはベストセラーとして多くの人間から評価されてきたため、流行に左右されない普遍的な価値を持っていると考えられるでしょう。
ゆえに先生や先輩たちは、いわゆる「名著」とされる本を薦めてきます。

しかし、思ったことはないでしょうか?

「名著っていうけど本当?」
「皆、他の人が良いって言うから自分も良いって言ってるだけじゃない?」
「無駄に小難しそう……」

私自身、そういった疑問がありました。
実際、自分にはあまり有用でない本もあったので、名著だからと言って読むべきというわけでもないと思います。
もっとわかりやすく説明している本や、面白い本だってあります。

しかしながらある日、「名著の名著たる理由」を感じたのです。
すべてに当てはまることではないと思いますが、ちょっとでも質の高い学習を目指す人にはぜひ意識してほしい内容です。

興味があればご一読ください。

『マンキュー マクロ経済学』を読んで感じたこと

「名著の名著たる理由」を感じたのは、経済学分野の名著の1冊『マンキュー マクロ経済学』を読んでいた時です。
経済学を勉強したことがある人や勉強しようと思ったことのある人なら知っている人も多いのではないでしょうか?

私は以前、マクロ経済学について勉強していたことがありました。その時は公務員系のテキストを使っていたと思います。
今回、大学でまたマクロ経済学を学習する機会があり、授業の参考図書に設定されていた『マンキュー マクロ経済学』を読むことにしました。

最初はその分厚い書籍に、ミクロ経済学に比べると興味の薄いマクロ経済学という分野であることも加えて、少しテンションは低めでした。

気だるげに本を開き、重苦しく眼球を動き始めた私でしたが、その印象はすぐに間違いだったと気が付きます。

「わかりやすい!」

そう、わかりやすかったのです。
私の頭の中に断片的にあった情報や知識が次々と統合されていくのを感じました。

心地いい知的快感と共に、いつの間にか本を読み進めていました。

「名著は難しい、重い」

そんな偏見は一気に吹き飛びました。
まあよくよく考えると、心理学系の名著は間違いなく面白かったですし、尊敬する野中郁二郎さんの本は物語のように深く読めていた気もします。
とはいえ、それらはもともと興味の強かった領域の本だったので、そこまで気にしていなかったのです。

さて、話を戻すと、私は『マンキュー マクロ経済学』を見つめながら、なぜこうも面白く読めたのかを考え始めました。

事前に知識があったことや、認知能力がフィットしていたこともあったのかもしれません。『マンキュー』は特別良書なのかもしれません。
今まで読んだ名著と言われる本にも思いを馳せながら私は考え続け、一つの答えを出します。

それは“洗練された論理”です。

「名著」が持つ、“洗練された論理”

「名著」には“洗練された論理”がある。
私はそう思います。

優れた論理であるからこそ、多くの人を納得させることができます。
優れた論理は世界を変え(つまり、その名著を参考とした研究や実践が行われ、その知識を私たちが得る)、その結果、名著の持つ論理はより洗練されます。

『マンキュー』は私が持っていたマクロ経済学に関する知識や経験を高いレベルで統合してくれる論理がありました。
『ファスト&スロー』は私たちの思考について再認識することができ、『影響力の武器』は他者とのコミュニケーションについて理論的に考え直す機会でした。『キャズム』にはマーケティングで何を考えるべきかを深く考えました。

“洗練された論理”による名著のメリット

① 知識や経験を統合してくれる

名著のもつ論理によって、自分の中で上手くまとまっていなかった知識や経験、なんとなくで理解した気になっていた事が構造化されていきます。
そう考えると、名著はその分野について事前に学習した上で読むとより面白くなるのかもしれません。

 

② 明快なロジックによる知的快感を与えてくれる

名著の中には一見わかりにくい文章もありますが、その背景には明快なロジックがあります。
そのロジックを感じることができれば、知的快感をバシバシ得ることができます。脳汁ドバドバです。

 

③ 自分の論理も洗練させることができる

そうした洗練された論理に触れ、親しむうちに自身の論理構築能力も向上していきます。
どのような論理が気持ちよくて、気持ち悪いのか。それがわかるようになれば、優れた論理のエッセンスみたいなものが見えてきます。
この辺りのことについてはまた機会があれば書こうかな、と思います。

全ての名著が名著ではないかもしれない

名著は“洗練された論理”を持つ。
そう述べてきましたが、全ての名著がそうとは限りません。

その理由は2つあります。

まずは単純に名著ではない場合。

そしてもう1つは、自分にとって名著ではない場合です。

自分にとって有用ではない、まだ知識が足りていない、タイミングが合っていない。

ノーベル文学賞も受賞した小説家、大江健三郎氏は「読書には時期がある。本とジャストミートするためには、時を待たねばならないことがしばしばある。」(『私という小説家の作り方』)と書いています。

他の人にとって名著でも「今の」自分にとって名著でない可能性もあるのです。

【大事なこと】評価は自分で決めろ

最後に大事なことを言っておきます。

評価は自分で決める事。

他の人が「名著」と言っていても自分がそう感じなければ別にそれは普通のことなのです。
ネットで「つまらない、クズ本」と言われていても、自分が面白いと思えば面白い本なのです。

「どの本を読むか」を決める段階では他人の意見に耳を傾ける必要もあるでしょうが、「その本がどうだったか」を決めるのは自分です。
一人前の学習者になりたければ、自分自身で評価する癖を付けましょう。

 

自分の分野で名著と言われている本を読んでみる

 

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