今回のLearnTernでは「学習≒プロジェクト?」の話をします。
私は学習はプロジェクトみたいなものだと思っています。
「プロジェクト」とは何なのか、なぜ学習はプロジェクトなのか。
気になる人は読んでください。
学習≒プロジェクト?
僕は学習を「プロジェクト」として捉えることがあります。
学習をプロジェクトとして捉えることができれば、プロジェクトマネジメントの考え方を転用できます。
というか、学習が上手く行かない要因のいくつかはプロジェクトマネジメントの考え方を導入するだけで解決できたり。
「そもそもプロジェクトとは? プロジェクトマネジメントとは何なのか?」
「なぜ学習がプロジェクトといえるのか?」
「どのように学習にプロジェクトマネジメントを適用するのか」
もしかしたら今日から、あなたの学習は劇的な変化を迎えるかもしれません。
プロジェクトとは
そもそも「プロジェクト」とは何なのかから見ていきましょう。
プロジェクトという言葉はいろいろな文脈で使われるので知らないことはないと思います。なんとなくの意味も思い浮かぶでしょう。
ただし今回取り上げる「プロジェクト」は厳密に定義された「プロジェクト」です。
PMBOK(Project Management Body of Knowledge)というものがあります。プロジェクトマネジメントのノウハウや手法を体系立てたものです。
PMBOKによればプロジェクトの定義は、
「独自のプロダクト、サービス、所産を創造するために実施する有期性のある業務」
となっています。
独自のプロダクト……
「ユニークな成果物」のことです。
そのプロジェクトがあったからこそ生まれたものですね。
有期性のある……
「始まりと終わり」があることです。
ぐだぐたと続いていったり、日常になるようなものではなく、明確な始点・終点があることも「プロジェクト」の条件になります。
そんなわけで「プロジェクト」とは、ユニークな成果物をつくる期限の決まった活動のことです。
なぜ学習がプロジェクトだと思うのか
学習におけるユニークな成果物
学習の成果物とは何でしょうか?
ノート? テストの点数? 上司の評価? 何らかの作品?
私は「インプットに対して適切なアウトプットを返す知識・技能体系(システム)」であると思います。
インプットは外部から与えられる情報です。
その情報を自分の中にある知識・技能体系にぶち込み、返ってくる答えがアウトプットです。
ざっくり表現すると「フローチャート」的なものでしょうか。
因数分解の問題に対して適切な解法を選び、計算するシステム。
英語での質問に対して、適切な語彙を選び、スピーキング・ライティングするシステム。
描きたい対象に対して、適切な構図や描画技法を引っ張り出してくるシステム。
あらゆる学習は体系(システム)を自分の中につくる活動です。
そうすることで、学習成果を得られるのです。
学習における期限
意外と学習に「始まり」と「終わり」を設定するのを忘れる人が多いです。
学校ではカリキュラム側から設定されていたからかもしれません。
学習に限らず、多くのものには「期限」を設定したほうがいいです。
プロジェクトマネジメントの考え方を使う
学習がプロジェクトのようなものだと納得できましたか?
納得してくれなくても、次の話は読んでみてください。
プロジェクトマネジメントの考え方の一部を紹介します。
スケジュール、予算(資源)、スコープ
プロジェクトマネジメントの基礎として学習する3要素のバランス。
「スケジュール」「予算」「スコープ」の3つです。
この3要素は相互に影響し合っています。
スケジュールが遅れれば新たな予算をとらなければいけない、もしくはスコープを減らすという手段を考えなければなりません。
ちなみに「スコープ」はとりあえず「プロジェクトの範囲(どこまでやるか)」と考えておけば大丈夫です。
学習にも「スケジュール」が必要で、学習に投下するための「予算(集中力、時間、お金、体力)」を確保しなくてはならず、「スコープ(学習の範囲、深さ)」を決めるべきでしょう。
相互に関係し合うそれらをどのようなレベルで認識できているでしょうか?
きっちりと意識すれば、ぐだぐだの学習が卒業できるかもしれません。
4つのフェーズ
プロジェクトには4つのフェーズがあります。
「定義」「計画」「実行」「終結」です。
「定義」フェーズでは、目指すものを定義します。
何を達成するのか、目標の明確化ですね。
「計画」フェーズでは、定義した目標を達成するための計画をつくっていきます。
先程のスケジュール、予算、スコープも含めて、最終的にはどのような作業が必要であるかを洗い出し、整理します。
「実行」フェーズは、計画した作業を実行していきます。
ほとんどのプロジェクトでは変更が起こりうるので、状況に合わせて計画を修正しなければなりません。
「終結」フェーズでは、プロジェクト終了の宣言と教訓の整理をします。
そのプロジェクトから学べたことを整理しておくことが、次のプロジェクトにつながっていくのです。
学習において無視されがちなのが「定義」と「終結」です。始まりと終わりですね。
その学習は何を目指すものなのか、学習が終わったときどのような自分になっていたいのか。
また、学習後、学習プロセスについて振り返る。そうやって次の学習をよりよいものにしていく。もしくは次に学習すべきことを見定める。
ほとんどの学習者はこのあたりがおざなりです。
面倒ならば、それも一つの選択なので別にいいと思います。
もし知らないのであれば、4つのフェーズを導入してみましょう。
何かが変わるはずです(当たり前)。
明確な成功の定義
「定義」フェーズの話が出ました。
プロジェクトの成功は明確に定義されなければなりません。
多くの関係者の誰が見ても成功したと言えるかどうかを判断できなければならないからです。
学習では自分が判断できればいいです。
いいですが、明確にしましょう。曖昧にしないでください。
「いつ、何ができるようになっているか」「何を得ているのか」
そのゴールを常に見て走ることが、学習における近道になります。
もちろん意図的に近道を通らない学習もありです。
でもそれは近道を通る学習ができた上でやればいいことでしょう。
「目標を明確にすること」はいろいろな文脈で役立つと思うので、きっちり習得しておきたいです。
学習≒プロジェクト
というわけで、「学習はプロジェクトと似ている」「だからプロジェクトマネジメントの考え方が使える」ことについてお伝えしてきました。
賛成できる人、よくわからなかった人、いると思います。
LearnTernではこれからもチョクチョク、プロジェクトマネジメントの考え方・技法を学習と絡めつつ発信していきますので、使えそうな部分だけでもガンガン活用してみてください。
今回はプロジェクトマネジメントでしたが、学習プロセスをいろいろなものに喩えてみると面白いです。自分の身近なもの、好きな漫画やアニメなどと絡めながら、学習者レベルを上げていってください。