今回のLearnTernでは「勉強に苦手意識を持っている大人」を対象に、なぜ苦手意識を持ってしまったのか、本当に貴方は勉強が苦手なのか、というお話しをしていきます。
たぶん、あなたは勉強が苦手ではありません。
学習の「物差し」はいっぱいあるのです。
勉強に苦手意識を持ったまま大人に
「私、勉強は苦手で……」
「学校でもテストの度、ヒーヒー言ってました(笑)」
小学校・中学校・高校・大学・専門大学・大学院。
人によってどこから社会に出たかは異なりますが、私たち日本人は子供時代の多くを「学生」として過ごしてきました。
それなら皆もう少し「学習」を得意に思っていても良い気がしますが、現実は逆。
勉強に苦手意識を持ったまま大人になってしまった人がたくさんいます。
自分は学習意欲が低いと思っている人も多いでしょう。
でも、あなたは本当に勉強が苦手なのでしょうか?
なぜ勉強に苦手意識を持ってしまうのか
そもそもなぜ、勉強に対して苦手意識を持ってしまっているのでしょうか?
勤勉なイメージを持たれがちな日本人ですが、異常に「勉強嫌い」な国民性もあると思います。
これは一体なぜなのでしょうか?
一概に答えは出せません。ですがこの記事では「学校教育」に着目したいと思います。
ちょっと保身なのですが、別に学校批判ではありません。
現場でいろいろ頑張ってくれている人々、何かを変えようと動いている人々がいるのに、外部からとやかく言うつもりはないのです。
あくまで「勉強に苦手意識を持つ人」がそのマインドを変えられるようにするために話すだけなので、私を吊るし上げることは絶対にしないでください。約束ですよ。
では「勉強を苦手に思ってしまう原因」を3つ、見ていきましょう。
- 一つの物差しで評価され、自己効力感を阻害される
- 多様な学習スタイルが推奨されていない
- そもそも学習方法を習っていない
勉強が”苦手”になる原因① 一つの物差しで評価され、自己効力感を阻害される
学校ではいわゆる“学力”を物差しとして生徒を評価することが多いです。
もちろん普段の取り組みや態度も評価対象かもしれませんが、いわゆる成績、テストの点数は”学力”ですね。
当然ながら学校で無限の時間を過ごせるわけではありません。
つまり、学校で教える科目は限定されることになります。
国語、数学、英語、化学、物理、生物、地学、歴史、地理、倫理、政経など。
これらは学習対象のほんの一部です。
しかし、学校ではまるでこれらの科目が世界の全てであり基礎であるかのように錯覚してしまいます。
もしかしたら学校で習わないような科目で力を発揮できるかもしれません。
でも学校の科目で成績がとれなければ「勉強が苦手」という扱いになるのです。
これでは「自己効力感」の二極化が起こります。
自己効力感とは、「自分は〇〇ができる」という判断のことです。
成績の上位者は学習に対する自己効力感を高め、逆に下位者は高めることができません。
「勉強」の対象を限定しているばかりに、「勉強」への苦手意識が生まれやすくなっているのです。
勉強が”苦手”になる原因② 多様な学習スタイルが教えられていない
学校における勉強ってどんなイメージでしょうか?
先生が説明し、生徒が聴く。予習をしてくる。宿題をしてくる。テストを受ける。
最近はアクティブラーニングが盛んになってきましたが、私のときはこんな感じでしたね。
「現代の学校教育」が良くなっても、既に卒業してしまった大人たちには関係ありません。
学習スタイルというのはいろいろあります。
机に座って話を聞いたり、机に向かってバリバリ問題集を解くだけが勉強ではありません。
しかし何年も何年も同じような学習スタイルで勉強しつづけてきました。
それで成果を上げられていません。
普通なら「方法」もしくは「方法と自分の相性」を検討するかもしれませんが、こと「勉強」については勝手に苦手意識を持ちがちです。
小学生の頃からその学習スタイルが「当たり前」になっているからですね。
本来、学習とはもっと多様で複雑なもの。
それらが連鎖的に反応して機能するものです。
「勉強」の方法を限定しているばかりに、「勉強」への苦手意識が生まれやすくなっているのです。
勉強が”苦手”になる原因③ そもそも学習方法を習っていない
勉強に苦手意識を持つ原因の3つ目。
いいですか?
3つ目が一番大事なことです。
そもそも私たちは学校において「勉強」を習っていません。
「何言ってんだこいつ?」と思ったかもしれませんが、多くの人にとっては事実のはずです。
どうすれば記憶率を上げられるか知っていますか?
予習の上手いやり方は?
復習のタイミングは?
学習目標のつくり方や、意欲の高め方は?
優秀で熱意のある先生に出会えた人は知っているかもしれませんね。
でもそういう人は少ないんじゃないでしょうか?
先日ニュースで先生たちが自身の能力開発に使える時間がほとんどないと聞きました。現場もデータも知らないので本当かはわかりませんが、学校の先生の仕事量が(ムダに)多いイメージはあります。
最新の論文や学習法をインプットしたり実践したりする時間がなかなかとれないのでは、と思ってしまいますね。
少し話がズレました。
ここで言いたいのは、「勉強が苦手だと思っている人の多くは、そもそも勉強法を知らないのでは?」ということです。
普通に生きていたら僕らは「勉強法」を習いません。DaiGoさんなんかは積極的に発信していますが、それでも積極的に学びにいかなければ「効率的な勉強法」を学ぶ機会はないと言えるでしょう。
あなたは勉強が苦手なわけではないのかもしれません。
――ただ、ちゃんとした勉強法を知らないだけ
かもしれないのです。
勉強への苦手意識を克服するためにゲットしたい考え方
ここまで、勉強に苦手意識を持ってしまう原因について仮説を立ててきました。
ここからは上の3つの仮説に心当たりのある人向けに、勉強への苦手意識を克服するための考え方や行動を紹介していきます。
勉強への苦手意識を克服する① 学校での成績は忘れる
まず、学校での成績は忘れてしまいましょう。あまり関係ありませんから。
もし「勉強=学校でやった勉強」というイメージがこびりついてしまっていたら使う言葉を変えましょう。
「勉強」ではなく「学習」を使うのです。
実際、「勉強」は勉めて強いるですよ?
ちょっとしんどい言葉だと思います。
「学習」は学んで習う、です。
こっちの方が相応しいと思っているので、私は基本的にこの言葉を使っています。
勉強への苦手意識を克服する② 興味のあることを学んでみる
苦手意識の克服に使えるのが「好き」「楽しい」という感情。
あなたの好きなもので学習体験を積めば、苦手意識も消え去るかもしれません。
自然に学べていることを学び直しても仕方ないので、少し「ずらし」てみましょう。
例えば、その好きなものの歴史や背景など。
視点をずらして学んでみましょう。
ちなみにこの「視点ずらし」は興味の湧かないものを学習するときにも使えます。
私が好んで使う視点は「物語」。
数学に興味が湧かない時は、数学に人生を懸けた人の物語を味わってみる。
楽典(楽譜の文法)に興味が出なければその成り立ちに迫ってみる。
物語の視点を持つことで、新しい世界が見えてきます。学習×物語です。
勉強への苦手意識を克服する③ 学習法は学べると知る
勉強が苦手になる要因の3つ目を覚えていますか?
思い出してみてください。
はい、「そもそも学習方法を習っていない」でした。
もちのろんで学習方法は学べるものです。
大事なことなので、もう一度。
――学習方法は、学べるものなのです。
まだあなたがそれを学んでいないのだとしたら、膨大な伸びしろがあります。
「勉強が苦手」とか言う必要はないのです。
どうやって学ぶかって?
いろいろ選択肢はありますが、一つはこのLearnTernを利用することです。
LearnTernでは学習法や学習を支える人間の認知に関する理論などを解説しています。
とりあえず「LearnTernガイド」をどうぞ。
またTwitterの方でも学びの役に立つ内容など発信していますので、よければそちらもどうぞ。
→「AkiのTwitterアカウント」
「勉強が苦手」は思い込み
「勉強が苦手だ……」
それは思い込みです。
思い込みだと思い込みましょう。
学習法とか学んで、実践して、それでも「自分は勉強が苦手だ」と思ったら認めます。あなたは勉強が苦手です。
でもそれまでは勉強に不要な苦手意識を抱くのはやめましょう。もったいないです。
LearnTernではさまざまな学習法や学習に関わる理論、間接的に役立つ情報デザインの理論やテクニック、その他ストーリーを紹介しています。
理論もできるだけわかりやすく説明していくので、お役立てください。
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