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予習って必要なの?意味ない?
みなさん、「予習」はお好きですか?
あまり好きな人はいないんじゃないでしょうか。
「どうせ授業でやるし……」
「予習より復習の方が意味あるでしょ」
「予習の時間とかないわー」
特に小学校教育(大量の宿題)の影響か、「予習よりも復習」みたいな風潮、あると思います。
しかし予習には学習を効率的に変えるメカニズムがあります。
それにポイントを絞れば、時間はそこまで必要ありません。
というわけで、今回は予習について考えてみましょう。
予習の意味とメリット
先に予習をするメリットを並べておきましょう。
- 授業・本文(本学習)の理解度が高まる
- 語句や内容を記憶しやすくなる
- 学習内容に対する興味を持てる可能性がある
- あらかじめ質問(わからないところ)を準備できる
メリットだけ見ると予習しない意味はないですよね。
それでも私たちが予習を嫌うのはコスト(時間・労力)がかかるからです。
そこでコスパのいい予習のやり方を考えていきましょう。
先行オーガナイザーと予習
認知心理学にも予習の有効性を示す研究があります。
それが「先行オーガナイザー」です。
オーズベル(Ausubel)によると、テキスト学習の前にその要約を読ませておくことで理解促進になるとのことです。
その後も別の人々によって研究が続けられ、授業の理解度が上がることも示されています。
先行オーガナイザーとは、これから学ぶ内容についての抽象的・概念的な枠組みや知識のことです。
スキーマの話をしたこともありましたが、枠組みを持っておくことは学習やその他の認知活動において有利なことになります。
予習の目的とは、この先行オーガナイザーを取得することになるわけですね。
予習のポイント-先行オーガナイザーの取得
では、先行オーガナイザーは具体的にどのようなものなのでしょうか。
基本的な先行オーガナイザーの取得法
① 枠組みを見つける(つくる)
まずは学習範囲の枠組みを見つけましょう。
枠組みは関連性や重要度に注目することで見つかります。
また優秀なテキストなどであれば、枠組みを示すガイド文があったりします。
必殺技として「スマホで調べる」というコマンドもあります。
② 枠組みの構成要素を集める
枠組みが見つからなかった場合、その構成要素っぽいものを見つけ出しておきましょう。
これだけで本学習時の認知的負荷が減り、枠組みや原理の理解に集中することができます。
構成要素というのは、固有の用語のようなだいたい太字っぽいやつです。
③ メタ的に内容を俯瞰する
最後はより上位の目線からその学習範囲をみておきましょう。
何の意味があってその範囲を学習するのかを考えるのです。
世界史の場合
例えば世界史であれば、何が起こったのか・誰が出てくるのか・どういう事象が関係するのかを先に知っておくことで、授業において歴史の背景理解に努めることができます。
この場合の先行オーガナイザーは枠組みの構成要素になります。
教科書を先に見て、重要っぽいワードとその概要だけ把握すればいいのです。
数学の場合
数学であれば、やはり問題を解いておくというのがベストなのですが、それは面倒という人もいるでしょう。
必要なのは問題スキーマを見ておくことです。
問題の解はどのようなものか、条件はどのようなものか。
そしてそこから使いそうな公式や解法をなんとなく考えておくといい感じです。
メタ的に意味を知る
またあらゆる学習分野に有効なものとして、その範囲を学ぶ意味・意義を先に知っておくという予習法もあります。
これは将来何の役に立つのか、とかそう言ったことではありません。
その公式はどのような問題スキーマに対して役に立つのだろうか?
数多ある世界史の事象の中で、その分野は歴史にどういった影響を持つのだろうか?
この知識はどの知識・技能と関連し、効果を発揮するのだろうか?
こういったメタ的な要素を考えることで、その学習範囲に対して深い処理をすることができるようになります。
「深い処理→覚えやすい・理解しやすい」ですね。
予習は意味がある→ポイントを押さえて予習しよう
予習が学習を効果的なものにするのは明らかです。
あとは「効果的→効率的」にできるか。
先行オーガナイザーについての理解を実践を通して深め、コスパのいい予習テクを身に付けていってください。
明日の学習内容(会議や交渉の資料でも可)に対して先行オーガナイザーを取得してみよう
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