発達の最近接領域を学習者が利用できるか
心理学の研究の1つに「発達の最近接領域」という考え方があります。
子供の学習・発達における「関係性」に着目したVigotskyの理論で、主に教育者が活用するものです。
しかし、発達の最近接領域の考え方は学習者にとっても重要なものとなります。
発達の最近接領域を見極めることで、より効率的な学習を実現することができるからです。
1人で効率の悪い成長をするくらいなら、関係性を使って効率の良い学習を実現しましょう。
では、「発達の最近接領域」について紹介していきます。
発達の最近接領域とは
「自分一人でできること」ばかりやっていても成長はできません。
「自力では難しいけど、誰かの協力があればできるかもしれないこと」を達成していくことで効率の良い成長が望めます。
この「自力では難しいけど、誰かの協力があればできるかもしれない」領域が、発達の最近接領域なのです。
発達の最近接領域は、Vigotskyによって提唱されたもので、子どもの発達は子どもを取り巻く関係性によって決まってくることを示唆しました。
自分よりもレベルの高い人に手伝ってもらうことで、自分の限界以上の成果を体験する。
そのことによって、一人でやっていたときよりも大きな成長が見込めるのです。
発達の最近接領域の活用【教師編】
発達の最近接領域は、教師やコーチ、上司などの教育者サイドで利用されることが多いです。
教育者は、その生徒が「自力でできること」と「教師や友人の力を借りることで可能になること」を見極め、後者に適した課題を出します。
それによって、生徒は高い成長率を得ることができるのです。
「一人で解ける数学の問題を20問解く」のと、
「先生がフォローしながら、難しい問題を1問解く」では、後者の方が有効です。
ここでは先生役のフォロースキルが重要になってきます。
当然、代わりに解いてしまっては意味がありません。
上手く、生徒がメタ認知的能力を発揮できるように「質問」を重ねてあげましょう。
時には、見本を「提示」してみるのもありです。
→発達の最近接領域を見極め、「質問」「提示」などのフォローをしながら課題に取り組ませてみる
発達の最近接領域の活用【学習者編】
今回はさらに、学習者目線から発達の最近接領域を見てみましょう。
発達の最近接領域において焦点となるのは、「適切な難しさはどこか」と「適切な支援が受けられるか」です。
① 適切な難しさ(発達の最近接領域)を見極めよう
まずは「自分が一人でできること」と「できないこと」を分けましょう。
次に、「できないこと」のうち「支援があればできるかもしれないこと」を掬い取りましょう。
たぶん難しいと思います。
しかしこのようなメタ認知的スキルは一流の学習者にとっては不可欠なことです。
基本的には「できないこと」のうち、
-できそう、でもできない
-コツがわかればできそう
-やり方は問題ないはずなのにできない
に当てはまっているものを探し出せるといい感じです。
② 適切な支援者を見つけよう
発達の最近接領域がわかったら、あとは支援者を見つけるだけです。
「だけ」とか言いましたが、状況次第では難しいかもですね。
部活や仕事のスキルであれば、先輩を頼ればいいでしょう。
学業であれば先生が頼れます。
では独学中のスキルは?
独学は「独りで学ぶ」と書きますが、本当に一人で学んでいては効率が悪くなってしまいます。
自分が求めるスキルの先達となる人を見つけましょう。
セミナーやSNS、オンラインサロンなど、関係を持つ手段はいくらでもあります。
→ 発達の最近接領域を見極め、適切な支援者を見つけてみる
発達の最近接領域を見極めよう
-発達の最近接領域は「支援者がいれば可能になること」
-発達の最近接領域での学習は高効率
-教師は適切なレベルの課題と適切なフォローを行う
-学習者は自身の最近接領域を見極め、適切な支援者に頼む
-高効率な学習には「関係性」も大切
今回は「発達の最近接領域」について学びました。
でもまあコミュ障な人にとっては結構むずかしめのお話かもですね。
ぶっちゃけ私も人見知りなタイプなのと、「こんなこと頼んで大丈夫かな…」とか思ってしまうタイプであるのとで、あまり活用できてません。
しかしプログラミング学習とかだと、真剣に効率変わってきます。
がんばりましょう。
学習中の内容で「発達の最近接領域」を見極めてみよう