【活用しよう】「学習の転移」でレベルアップするための3つの方法【転移の分類も】

【活用しよう】「学習の転移」でレベルアップするための3つの方法【転移の分類も】

今回のLearnTernでは「学習の転移」を紹介します。
学習の転移は、過去の経験を現在に活かす仕組みです。

学習の転移にはどのような種類があるのか?
学習の転移を促すために何ができるのか?

学習者としてレベルアップするための黄金率をマスターしましょう。

学習のコスパを上げるために

同じ時間、労力に対してより多くの学習成果が得られれば嬉しいですよね。
学習者としてのレベルアップ項目の一つは「学習のコストパフォーマンスを上げる」になります。

どのような領域でも、効率を上げるキホンは「過去の経験の活用」です。

学習の領域でも当然、このことに関する研究分野があります。
それが「学習の転移」です。

学習の転移とは

学習の転移とは、過去の経験や既有知識が現在・未来の状況に影響を与えることです。
比例の学習経験は一次関数の学習に役立ちます。

学習の転移というとなにか特別な響きがありますが、実は当たり前に起こっています。
「似たようなことあったな」と意識していなくても、私たちは過去の経験を転移させて生きているのです。

しかしながら、意識的に転移を発生させようとするとなかなかに難しい。

そこで今回は学習の転移を促進する方法について考えてみましょう。
まずは転移の分類からです。

転移の分類

学習の転移研究の歴史は長く、いくつかの分類が考案されいます。
今回は「特殊-一般」「近い-遠い」「垂直-側方」の転移を見ていきましょう。
(この時点でなんとなく意味を推定できる人は、正に転移が起こっています)

特殊転移と一般転移

最初に紹介するのは「特殊転移」と「一般転移」。
学習材料に焦点を当てた分類です。

特殊転移は、学習材料が似ているパターンになります。

例)Wordの使い方を学んだ人が、他のワープロソフトである一太郎やGoogle documentを使うとき

一般転移は非特殊転移とも言われます。
学習材料自体に類似性はないけれど、より抽象的な部分で転移が起こっているパターンです。

例)Wordの使い方を学んだ人が、他のデジタルツールの使い方を学ぶとき

一般転移は「学習方法」などを学んだ状態ということですね。

近い転移と遠い転移

次は「近い転移」と「遠い転移」です。
学習状況に焦点を当てます。

近い転移はほぼ特殊転移と同じです。
対して遠い転移は、学習対象自体ではなく学習状況に類似性が見られるパターンですね。

数学で学んだ問題解決の方法を、仕事の場で活かす状況などが当てはまります。

垂直転移と側方転移

最後は「垂直転移」と「側方転移」。
これは学習分野に焦点を当てた分類といえるでしょう。

垂直転移は「同じ分野」の「より高いレベル」に対して起こります。
側方転移は「異なる分野」の「同じレベル」に対して起こります。

垂直転移は「深めていく」イメージ、側方転移は「広げていく」イメージですね。

(おまけ)正の転移と負の転移

おまけとして「正の転移」と「負の転移」を紹介しておきます。
とはいえ「正の数」と「負の数」を知っていればなんとなく意味はわかるでしょう。

正の転移は、先行学習が後の学習にポジティブな影響を与えることです。
負の転移は逆にネガティブな影響を与える場合ですね。

ポジティブだろうがネガティブだろうが、先に学習したことが後に影響を与えていればそれは転移なのです。

学習の転移を促す3つの方法

ここからは学習の転移を促進するための方法を3つ、紹介していきます。

① 学習の仕方を学ぶ(モニタリングする)
② 学習方略を言語化する
③ 先行オーガナイザーを活用する

転移を促す方法① 学習の仕方を学ぶ(モニタリングする)

基本的に「学習方法」について学んでおいたほうが転移は起こりやすいとされています。

例えば「記憶の仕組み」「記憶術」を知り、それにしたがって記憶を進めていく。そうすれば、その学習経験が記憶力のレベルアップにつながるのです。

また、学習方法を学ぶことは、自分の学習プロセスを知ることでもあります。
これは「メタ認知的モニタリング」と呼ばれるものですね。

学習の転移を促進するために「メタ認知」についても学んでおきましょう。

転移を促す方法② 学習方略を言語化する

自分の学習プロセスをモニタリングするために有効な方法の一つが「言語化」です。
自分がどのような学習方法(学習方略)を使っているのが、言葉にしてみましょう。

カタチを与えるというのが重要です。
普段は無意識下に沈んでいる部分を、意識上に浮上させることが出来ます・

転移を促す方法③ 先行オーガナイザーを活用する

「先行オーガナイザー」を活用することも、転移促進につながります。

先行オーガナイザーとは、これから学習する内容の大枠だったり抽象的な内容だったりのことです。先行オーガナイザーを予習しておくことで学習効率が上がります。

先行オーガナイザーは抽象的な構造キーワードを知ることに繋がり、それらが今の自分が持っている知識を刺激します。それが転移につながるのです。

先行オーガナイザーの活用は習慣化しておくといいでしょう。

学習の転移でレベルアップ効率UP!

学習の転移を促進できる。それはレベルアップ効率の向上につながります。
やる気も自己効力感も上がって、一石三鳥・四鳥くらいです。

まずはメタ認知能力を鍛えて、自分の学習をモニタリング&コントロールしてみましょう。

 

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