分散学習とは? 忘却曲線と復習のコスパを理解して実践しよう

分散学習とは? 忘却曲線と復習のコスパを理解して実践しよう

「分散学習」って知ってますか?

「分散学習」を知っていますか?

名前は聞いたことある人も結構いるかもですね。
では分散学習の意味、説明できるでしょうか?

まあ簡単に言うと、「忘れかけてきた頃に再学習すると記憶に定着しやすいよ」という原理を利用したメソッドです。

短期間に一気に詰め込んで学習する「集中学習」と対比して「分散学習」

テスト前の一夜漬けは当然、集中学習。
というか日本の学校では大半のカリキュラムが集中学習で構成されていますね。

中世の頃は知識の量=知性であり、記憶力というのはステータスでした。
そんな昔から人間は記憶術を研究してきています。

「忘却」に関する研究の歴史も長く、分散学習の有効性についても専門家の間では数十年前から話題になっていました。
しかしながら教育界ではいまいち導入されていない印象です。

分散学習は、ぶっちゃけコスパがめっちゃいい学習法になります。
軽く解説していきますので、導入を検討してみてください。

忘却曲線とは?

まず分散学習の前提になっているのは「忘却曲線」です。
有名なのは「エビングハウスの忘却曲線」ですね。ただしエビングハウスによる実験は無意味な語の記憶であったため、日常とは乖離すると批判される場合も多くなっています。

とはいっても基本の形はエビングハウスの忘却曲線と同じ以下のようなものです。
(数値等は省きました)

分散学習のメカニズムと忘却曲線(1)

この曲線からわかることをまとめましょう。

① 記憶した内容は24時間もすれば大半を忘れる
② 忘却率は最初は激しく、だんだんと緩やかになっていく

そしてここで湧く疑問が
「途中で復習したら曲線はどのように変化するのか?」

最初の勉強と復習に何の違いもないとすれば曲線は以下のようになるはずです。

分散学習のメカニズムと忘却曲線(2)

しかし実際には以下の図のようになるとする報告が多数挙がっているのです。

分散学習のメカニズムと忘却曲線(3)

つまり、復習するたびに、忘却率が緩やかになっていく(忘れにくくなる)のです。

分散学習とは?

分散学習は、この忘却曲線の性質を利用した方法になります。

そのエッセンスは「学習間隔のコントロール」です。

忘れそうになるタイミングで復習を繰り返すことでその記憶はより強固なものとなるのです。

例えば、

1.24時間後に復習
2.2日後に復習
3.1週間後に復習
4.1ヶ月後に復習
5.3ヶ月後に復習
6.1年後に復習

忘却曲線は復習の度、緩やかなものになっていくので、復習の間隔はより長くとっていけるのです。

対して、集中学習だと最初の忘却曲線だけ持っている状態になります。
どちらが記憶を保持しやすい方法か、明らかですよね。

実際、あなたの記憶にバッチリ定着しているような内容は分散学習が用いられているはずです。

専門分野の知識よく使うコード数学の公式、しばしば引用する名言などなど。
日常生活で繰り返す動作もある意味では分散学習に当たります。

とはいっても全部が全部、ひたすら繰り返していたらしんどいし、無理ですよね。
分散学習ではそこをコスパよくやっていくわけです。

分散学習はコスパがいい?

毎日毎日繰り返す学習は高頻度の分散学習となり、忘却率は低下していきます。

しかしそれではコストがかかり過ぎです。

そこで分散学習では「忘れそうなタイミング」を狙い撃ちで復習することにします。
すると、上の図よりも少ない学習回数で、同じような定着率が実現できるようになるわけです。

「そのタイミングはどうやって判断するの?」

と思った方。
いろいろなアプリケーションが存在するのです。
Anki」などが有名のものになります。
他にもDuolingoなんかは分散学習のアルゴリズムを取り入れているようです。

Ankiで分散学習を行ってクイズ王を勝ち獲った猛者も海外にはいます。

学んだことを忘れる、のは避けれられないことです。
分散学習はその事実を受け入れ、いかに効率よく記憶に残すかを極めた、コスパの良い学習法なのです。

分散学習を導入するには?

では実際に分散学習をやってみようと思った人に対していくつか方法を紹介していきましょう。

① Ankiなどの既存のソフトウェアを利用する

まずは先ほど挙げた「Anki」など、既に出ている分散学習支援ソフトを使うことです。
いくら分散学習のコスパが良くても、アナログにやっていては結局しんどくなってしまいます。
デジタルに頼っていきましょう。

② 自分で仕組みを作ってみる

既存のもので合うものがなければ、自分で作ってみるのも1つの手段です。
文献GitHubを漁れば、いい感じの参考資料が見つかるでしょう。

そこまで手の込んだものでなくても、既存のリマインダーアプリExcelなどを上手く活用して仕組みを構築してみてもいいかもしれません。

要は、「忘れそうなタイミングで復習、そしてだんだんと間隔を伸ばしていく」ことができればいいのです。

③ 集中学習をやめてみる

最後は最もお手軽な方法「集中学習をやめてみる」です。

「集中学習で身に付けられるぜ!」というのが幻想なのです。
これは学校におけるテストでの成功体験が基になっている可能性もあります。

基本的に武器にしていけるような知識や技能は、意識・無意識はあれど、分散学習によって身に付きます。

したがって意識的に集中学習に頼らないようにすることで、分散学習を行うように持っていくのです。

簡単な所からだと、英単語の勉強の仕方。

1週間ごとに1セクション進めるのではなく、1週間で全セクションをやってみる。
当然その大半を忘れてしまうでしょうが2週目も全セクションやってみます。
次は2週間かけて全セクションをやってみましょうか。
その次は1ヶ月。2ヶ月。3ヶ月。

このように、「限られた期間で何度も繰り返すのではなく間隔を空けて繰り返す」というスタイルの習得を目指しましょう。

④ アプリ「分散学習帳」を使ってみる(追記:2019/4/15)

メンタリストのDaiGoさんも「分散学習」の有効性を伝えており、なんとアプリまで作っています。

「分散学習帳」で検索すると出てくるはずです。
お手軽に分散学習を導入できるので、試してみるといいでしょう。

DaiGoさんの著書『超効率勉強法』でも分散学習が取り上げられているので、これも読んでみても良いかもしれません。
分散学習以外の学習テクニックもいろいろ紹介されています。

集中学習から分散学習へ

  • 忘却曲線は復習のたび、緩やかになっていく
  • 分散学習は忘れそうになるたびに復習することで記憶の定着率を上げる方法
  • 分散学習を助けるツールや仕組みを使う

集中学習から分散学習へのスタイルのシフト。
簡単ではないかもしれませんが、一流の学習者を目指すのであれば避けては通れない道です。

ぜひ取り組んでみてください。

 

分散学習を取り入れる学習テーマを決める

 

学習法-Methods-カテゴリの最新記事