今回のLearnTernでは「書く」「声に出す」ことが学習にどのようなメリットがあるのか、紹介します。
シンプルな小技があなたの学習をより良いものにしたりするもの。
面倒がらずに試してみましょう。
「書く」「声に出す」はメンドくさい?
何かを学ぶとき、書いたり、声に出したりしていますか?
例えばテキストで学習する場合。
重要な部分をノートにまとめたり、声に出してみたり。
またスポーツなどの練習の場合。
コツや感覚をメモする、声に出してみるなど。
「書く」「声に出す」というのはシンプルであり、難しいことではありません。
多くの人が当たり前にやっている行動の一つです。
しかし「学習」という文脈においては、意外と面倒くさがる人がいます。
特に優秀な人。
「別に書かなくても覚えられるし」「音読するとかダサくね?」
実にもったいないことです。
確かに、「書く」「声に出す」よりもテキストを読むだけ・練習を繰り返すだけ、の方が速いでしょう。
学習スピードを遅くする行為はむしろ悪に見えるかもしれません。
しかし「書く」「声に出す」という小技には明確なメリットがあります。
ポイントは「減速」です。
「書く」「声に出す」のメリット
学習に必要な熟考
学習者レベルを上げるのに必要なものの一つ、「熟考」。
じっくり考えること、ですね。
しかしスピードに囚われた私たちは、意外と熟考の機会を失っています。
最近の学習を思い出してみてください。
どれだけの時間、熟考にふけっていたでしょうか?
熟考は私たちの理解を促進し、記憶に影響し、知識・技能の体系化や転用に貢献します。
良いことづくめです。
デメリットは「時間がかかる」「疲れる」ことくらい。
で、この熟考が「書く」「声に出す」とどのような関係を持っているのでしょうか?
思考の減速は熟考を促す
ポイントは「減速」だと言いました。
「書く」「声に出す」ことで、私たちはただ読んだり聴いたりする場合よりも思考を減速させる(コントーラブルな速さにシフトする)ことになります。
思考スピードが減速した状態で、同程度の集中力を保っていれば、リソースが余ります。
このリソースはどこに使われるのか?
注目している知識の「より深い理解や記憶、他の知識との結びつけ」に使われるのです。
熟考ですね。
「書く」「声に出す」ことのメリットは「熟考」を促せること。
そして「熟考」は学習に欠かせないファクターなのです。
「書く」「声に出す」のタイミング
とはいえ、全てを「書く」「声に出す」わけではありません。
良きタイミングがあるのです。
今回は2つ紹介しておきましょう。
タイミング① テキストの重要部分
テキストや授業で学習している場合、「重要部分」を書いたり声に出したりしてみましょう。
全部音読とかするのは微妙です。
キーワードは「弁別」。
普通に読んだり聴いたりしているだけでは、情報が川のように流れ去っていきます。
深い理解もできず、数日たったら忘れてしまう状態です。
だから川の流れから「掬う」ことが必要になります。
この「掬う」が書いたり、声に出したりすることです。
「どこを書こうかな、音読しようかな」という思考プロセス自体も、処理水準を高めるのでメリットになります。
また書いたり、声に出したりする行為。
これ自体が精緻化(知識に情報を付加することで記憶強度を上げる方法)になるのもメリットです。
めっちゃシンプルだけど、メリットづくめ。
――一流の学習者は書くし、声に出します。
タイミング② 上手くできた部分、良くなかった部分
もう一つのタイミング。
スポーツや仕事では、身体を動かしたり、よりダイナミックな行動だったりがありますよね。
その中で「上手くできた部分」「悪かった部分」を書いたり、声に出したりしましょう。
すでに言語化されていたタイミング①に比べて、難易度は高くなります。
しかしその分、メリットも大きいです。
アクションに含まれる情報というのは、文字情報・音声情報よりも遥かに速いスピードで流れ去っていきます。
この情報を全部スルーしていては成長できるわけでもありません。
「1万時間の法則」の記事でも触れましたが、ただ無為に練習を繰り返した1万時間に価値など無いのです。
言語化が必要です。熟考しなければならないのです。
一流のスポーツ選手って、国語の成績が高いわけでもないのに、言語化がやたらと上手かったりしませんか?
そういうことです。
『ベイビーステップ』(『マガジン』で連載されていたテニス漫画)のエーちゃんばりにノートを活用しろとは言いません。
でも練習(仕事)ノートの一冊二冊くらいは持っておきたいですね。
ちなみに「メタ認知能力」の向上にも役立ちます。
学習をちょっと効率的にする技(されど積み重ねれば……)
今回紹介した「書く」「声に出す」は非常にシンプルな小技です。
しかしこのシンプルでちょっと面倒くさい方法を積み重ねてきた人々が一流と呼ばれるのです。
あなたの学習スタイル、小さなところから革命してみませんか?
「書く」用のノートを準備して、モチベ上がる感じにデザインしよう