今回のLearnTernでは「T字型思考法」を紹介します。
T字型思考法は「なぜ?」「それで?」「本当に?」の3つの問いを駆使しして思考を進める技法です。
学習に「問い」を活かすことは重要ですが、不慣れな人にとって難しいでしょう。
T字型思考法を使えば、3つの選択肢を頭に浮かべておくだけです。
学習に「問い」を使うのは大事だけれど……
学習で「問い」を使うことの重要性はいろいろな記事で取り上げてきました。
しかしながら「問う習慣」のない人にとっては難しい部分もあるかもしれません。
難しいのはシンプルに考えられないからです。
さまざまな問いの方法を無意識に挙げてしまっているがゆえに、上手く問いを発せないのです。
整理しましょう。
問いを3つに、3方向に絞ります。
それが「T字型思考法」です。
T字型思考法とは
T字型思考法は、電通の梅田悟司さんが提案した技法です。著書『「言葉にできる」は武器になる。』やWebサイト『電通報』で書かれています。
T字型思考法とは、「なぜ?」「それで?」「本当に?」の3つの問いを使って、言葉(思考)の解像度を上げていく方法です。
中心に現在の言葉(思考)を置いて、そこから3つの問いが伸びています(下図)。
この形がT字なので、「T字型思考法」です。
左から右に思考が進んでいきます。
■右側にある「それで?(So What?)」は思考を進める問い。
■左側にある「本当に?(Really?)」は思考を戻す問い。
■下側にある「なぜ?(Why so?)」は思考を深める問い。
このように、それぞれの問いかけはそれぞれの方向性を持っています。
一度問いかけたら、次はその問いかけた先が中心となってT字型思考法が続いていきます。
これを繰り返していくことで思考の解像度を上げるのがT字型思考法の目的です。
「なぜ?」の使い方
「なぜ?」は思考を掘り下げていく問いかけです。
「なぜそう思ったのか、感じたのか」などより原理や源泉に近づいていくイメージを持ちましょう。
基本的に「なぜそうなの? そう思うの? そんなことが言えるの?」と問いかけておけば使えると思います。
「それで?」の使い方
「それで?」は思考を前にすすめる問いかけです。
「それで結局なにが言いたいの?」「それが何なの?」「それで何ができるの?」など、思考をより具体的にしていく効果を持っています。
「結局――?」という言葉を混ぜ込むと上手く問いかけられるかもしれません。
「本当に?」の使い方
「本当に?」は思考を戻す方法です。
思考を進めていくと、だんだんと視野が狭くなってきます。自分がまだ理解していない点をすっ飛ばして考えてしまうこともあるでしょう。
それを防ぐのが「本当に?」です。
いったん、思考の視点を別の場所に移し、今の思考を俯瞰してみましょう。メタ認知に近いかもしれません。
「本当にそうなの?」「そもそもどういう話だったっけ?」など、思考を戻すイメージで問いかけましょう。
T字型思考法の使い方(in 学習)
ここからがT字型思考法を学習のいろいろな文脈に当てはめてみましょう。
T字型思考法と学習① 学習動機を考える
学習のスタートとなる「学習動機」。
この動機の解像度を上げること、強化しておくことがモチベーションの強化に繋がります。
「なぜそれを学ぶのか?」
「それを学ぶことで結局どうしたいのか?」
「本当に学ぶのはそれでいいのか?」
自分の学習動機を見つめ直してみると、けっこう面白いですよ?
T字型思考法と学習② 学習計画を練る
学習には「計画」も大事になってきます。
とはいえ意外と雑な計画を立てがち。
「なぜそのスケジュールなのか、順番なのか?」
「それで何が身につくのか?」
「本当に学習できるか? 定着できるか?」
ともすれば「こなすだけ」になってしまいがちな学習を見つめ直し、必要な学習ができるようになるかもしれません。
T字型思考法と学習③ テキストを超える
テキストにすべてが書いてあるわけではありません。
テキストの作成者はその知識・技能体系を内部化するまでに、さまざまな経験を経て思考を積み重ねてきています。
テキストだけでは、その代替にはなりません。多少のショートカットにはなりますが。
だから問いかけましょう。ここでの問いはプレーンでいけます。
「なぜそう言えるの?」
「それで、結局何が言いたいの?」
「本当にそう言えるの?」
それらの自問に答えるために、あなたは検索したり新たな本を手に入れたり先生を探さないといけなくなるかもしれません。
学習とはそういうものです。プロセスを楽しみましょう。
(記録しておけば、さらなるショートカットとしてコンテンツ化できるかも?)
T字型思考法で学習の質を上げよう
「なぜ?」「それで?」「本当に?」
3つの問いを駆使するだけで思考の質も、学習の質も上げることができます。
シンプルですよね。
やってみてください。
そのうち、自分オリジナルの「問いセット」ができてくるでしょう。
読書しながら「T字型思考法」を使ってみる