知識効果(ナレッジ・エフェクト)とは? 既存知識が学習の土台となる【LearnBetter解説】

知識効果(ナレッジ・エフェクト)とは? 既存知識が学習の土台となる【LearnBetter解説】

今回のLearnTernでは「知識効果(ナレッジエフェクト)」を紹介します。
知識効果は、LearnTernでもオススメしたことのある本『LearnBetter』でも登場した概念です。

今持っている知識が学習の土台となります。
後半では、知識効果をレベルアップするための方法を2つ紹介するので、ぜひ読んでいってください。

知識が土台となる=知識効果(ナレッジ・エフェクト)

高校の教室。
それぞれに文脈も興味も、蓄積してきた知識も異なる生徒が整列させられ、一人の先生から知識を伝達される。

LearnTernの記事や私のnoteを読んでくれている人の中には分かる人もいるかもしれません。
一斉授業のデメリットは「個人の知識ネットワーク」を無視せざるをえないことです。

新しい知識を学ぼうとする時、私たちは「すでに持っている知識」を使ってそれを理解しようとします。

つまり持っている知識によって、理解は変わるのです。

学習について、さまざまな研究結果やエピソードを記した『LearnBetter』の著者・Ulrich Boserは学習者のその性質を「知識効果(ナレッジ・エフェクト)」と名付けました。

知識効果(ナレッジ・エフェクト)とは

知識効果(ナレッジ・エフェクト)とは、既存知識が学習成果に大きな影響を与えることを示しています。

私たちは同じようなものを見ていても、実はそれぞれの「知識のプリズム」を通して世界を見ているんですね。

例えば、立ち並ぶレストラン街

-経営学を学んでいる学生は各店舗のコンセプトやお客さんの動きを。
-デザイナーは各店舗のデザインやレイアウトを。
-心理学者は人混みのメカニズムを。
-エンジニアは人混みを解消するシステムを。

それぞれに「見方の傾向」があります。

逆に「まったく知識がない」場合、その見方はできませんし理解もできません。
色彩についての体系的な知識を持たない人は、その店のカラーレイアウトの狙いを見抜くことができないばかりか、そもそもトライしないでしょう。

学習においても「その知識を理解するために必要な知識」がなければ、その対象を理解することはできないのです。

では学習者である貴方はどのように「知識効果」と付き合っていけばいいのでしょうか?

今回は2つのアプローチを紹介します。

① 「ちょうどいい」レベルを探る
② 「通底する論理の理解」を目指す

知識効果へのアプローチ① 「ちょうどいい」レベル

適切な知識効果を発揮するためには「ちょうどいい」レベルを知ることが大切です。

例えば、数学を再学習したいとします。
どこからやりましょうか。人によって最適なスタート地点は異なります。

中1の内容から始めたほうがいい人もいます。
数Ⅱくらいからスタートできる人もいます。

三角関数をやりたければ三角比の知識が必要です。
自分がその範囲に必要な「前提知識」を持っているか確認しましょう。

実は「持っていない前提知識」を遡って理解していく学習法はオススメです。
その知識が「なぜ必要なのか」を理解して習得していけるからですね。自然に「なぜ」を問いながら学習していけるのは素晴らしくラッキーです。

ちなみに「ちょうどいい」レベルについては「最近接領域」「発達範囲」の記事も読んでみてください。難しそうのは名前だけで、どちらもシンプルかつ重要なことが書いてあります。

知識効果へのアプローチ②「通底する論理」の理解

専門家は体系的な知識を持っています。関係性をよく理解しているのです。
その領域の話なら、その圧倒的な知識体系を使って素早く理解できるようになっています。

初心者、入門者が同じような知識体系を得るのは難しいです。
ではどうするか?

初心者が最初に目指すべきなのは「その領域に通底する論理」の理解です。
その領域の常識、みたいなものですね。

これも関係性を漠然と掴んでいくことで理解できます。
手法を2つ、紹介しましょう。

手法① 知っていることを書き出す(マインドマップ)

まずはその学習領域について、すでに知っていることや学んだことを書き出していきましょう。

このとき意識するのは「つながり」です。
自分の中にある情報を関連付けながら書き出していきます。マインドマップをつくるイメージでいいでしょう。

こうしておくことで、現状の自分の知識ネットワークがはっきりします。
これからの学習ではそのネットワークを改修していくのです。

手法② テスト効果を使う

「テスト効果」「検索練習」を使うのも良い手です。
テスト効果は、思い出すことが理解や記憶を促進するというものでした(検索練習も似たようなもの)。

テスト効果も関係性の理解を促進しますが、それ以上に「何がわからないのか」を明確化できるのが魅力ですね。

自分で仮の問題をつくってみたり、既存の問題を使ったりして、テスト効果が生まれる状況をつくりましょう。

知識効果(ナレッジ・エフェクト)を意識してみよう

すでに持っている知識が、その先の学習に影響を持っている「知識効果(ナレッジ・エフェクト)」の話をしました。

人は、何かをやろうとするとそちらばかりに目が行って、自分の状況を忘れがちです。
知識効果的には、あまりよくありませんね。

「知っていることを書き出す」「テスト効果」が習慣づけば、学習者として大きくレベルアップすることができます。

取り組んでみてください。

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