ダニング=クルーガー効果とは? 3つの原因を学んで対策を考えよう

ダニング=クルーガー効果とは? 3つの原因を学んで対策を考えよう

今回のLearnTernでは「ダニング=クルーガー効果」についてお伝えします。
ダニング=クルーガー効果に陥る3つの原因とは?
陥らないためにはどうすればいい?
気になる人はぜひお読みください。

ダニング=クルーガー効果とは?

能力不足の人ほど、自分の能力不足に気づけない

能力が低い人ほど、自分の能力を高く見積もる傾向にあります。
結果、改善の意識・技術が低下するわけです。

DunningKrugerが研究したメタ認知的な現象の一つで、二人の名前をとって「ダニング=クルーガー効果」と呼ばれています。
(参考:Unskilled and Unaware of It: How Difficulties in Recognizing One’s Own Incompetence Lead to Inflated Self-Assessments

研究では、学生たちにテストを受けさせた後に自分の成績を見積もらせました。
すると、成績が低い生徒ほど、自己評価と実際の成績が大きく食い違っていたのです。

ダニング=クルーガー効果はどう考えても学習者の敵です。

数学力の低い生徒ほど、「わかったつもり」になってテストで爆死するのです。
下手な小説書きほど、他人の小説を読んで自分のほうが面白く書けると考えるのです。

――哀れですよね。

では、どのようにダニング=クルーガー効果を回避すればいいのでしょうか?

DunningとKrugerはなぜダニング=クルーガー効果が起こるのかについて、3つの仮説を立てています。
この記事ではその仮説からいくつか対策を考えてみましょう。

ダニング=クルーガー効果についての3つの仮説

ダニング=クルーガー効果はなぜ起こると思いますか?
ちょっと考えてみてください。

考えたら、次はDunningとKrugerの仮説を見てみましょう。

ダニング=クルーガーの仮説① フィードバックを受けない

フィードバックをあまり受けていないことがダニング=クルーガー効果を促進するという仮説です。
特に否定的なフィードバックを受けることって意外と少なかったりします。

独学者の皆さん。
特に注意です。

あとは仲間内で肯定的なフィードバックばかり受けていると危険ですね。
もちろん肯定的なフィードバックは大切ですが、それだけでは駄目なのです。

ダニング=クルーガーの仮説② 原因を把握していない(外のせいにする)

「なぜ失敗したのか」を理解するのは難しいんですよね。
失敗の要因は多様で複雑だからです。

そして原因帰属理論的な話。
ダニング=クルーガー効果に陥りがちなタイプは外的要因に注目しがちなようです。

外部のせいにしていては自分(内部)の改善を図ることはできませんよね。

ダニング=クルーガーの仮説③ 他人の能力を正しく評価できない

他人の能力を正しく評価するのは難しいことです。初心者はほとんどできません。

そして本来、私たちは他人の能力という物差しを使って、相対的に自分の能力を判断します。
しかしその物差しが間違っているのです。

これでは自分の能力も正確に評価できません。
結果、ダニング=クルーガー効果に陥ります。

以上、ダニング=クルーガー効果についての3つの仮説はわかりましたか?

  • フィードバックを受けない
  • 原因を把握していない(外のせいにする)
  • 他人の能力を正しく評価できない

では対策を考えていきましょうか。

ダニング=クルーガー効果を回避するための3ステップ

まず3つの仮説それぞれに対策を考えると以下のようになります。

■ フィードバックを受けない
→ フィードバック(否定的なものも)を受けられる環境をつくる

■ 原因を把握していない(外のせいにする)
→ 自分の中に原因を求める習慣をつける

■ 他人の能力を正しく評価できない
→ まず評価ができないことを前提としつつ、先達の支援を得る

ここから考えると、「良い指導者」の存在がもっともダニング=クルーガー効果の回避策になりそうな感じがします。
まずは「良い指導者」を得られないか考えてみましょう。

しかし「良い指導者」を得るのは難しいですし、「そもそも他人の能力を評価できないのにどうやって探すねん!」と思うかもしれません。
独学者や多様な学習をしている人も大変ですよね。

というわけで3ステップでダニング=クルーガー効果を突破する方法を考えてみました。

ステップ① ダニング=クルーガー効果をメタ認知

まずはダニング=クルーガー効果をメタ認知してみましょう。
メタ認知には知識的な部分活動的な部分があります。

知識的な部分はこの記事を読めば解決です。
ダニング=クルーガー効果というものがあることと、その原因を知ること自体が対策となります。

活動的な部分は、実際に自分がダニング=クルーガー効果に陥っているのを観察してみましょう。
過去の振り返りでもいいですし、現状で探してみても良いかもしれません。

ステップ② 客観的な指標を考える

ダニング=クルーガー効果の問題点は能力評価がきわめて主観的に行われていること。
だから客観的な指標を考えてみましょう。

「数字」で測ることができればなおベストですね。

考えつく限りの指標を考えます。別にすべてを使う必要はありませんが、たくさん考えておくことによって指標の総合的な精度を高めます。
素人が一つ二つの指標を考えた所で上手くはいきませんが、10個20個あればなんとかなりそうでは?

王道で、ストレートに先達に尋ねるのもありですね。

ステップ③ フィードバックが受けられる環境をつくる

上で言っていることと同じではありますが、ここでは「良い指導者」に限定しません。

同じことを学習しているコミュニティに入ったり、友達をつくったり、Twitterで投稿してみたり、試験を受けてみたり。

フィードバックを受けられる環境というのは作れるものなんですね。
この辺、また考察を深めてから記事にしたいと思うのでお待ちくださいませ。

あとは手軽に「テスト効果」を活用するもの良いと思います。
テスト効果については以下の記事でどうぞ。

ダニング=クルーガー効果をまずは知ろう

今回はダニング=クルーガー効果の存在とその原因、ダニング=クルーガー効果を回避するための対策について考えてみました。

「能力不足で能力不足に気づかない」というのは仕方のないこと。まずはそういう傾向があることを知りましょう。

一流の学習者はダニング=クルーガー効果すらも超えていきます。

――Beyond Dunning=Kruger !!

 

ダニング=クルーガー効果に陥っていないか、モニタリングしてみよう

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