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符号化特定性原理とは? 思い出しやすさの鍵となる原理について知ろう!

符号化特定性原理とは? 思い出しやすさの鍵となる原理について知ろう!

この記事では、思い出しやすさの原理である符号化特定性原理について解説します。
「思い出す技術」の鍵を、どうぞ手に入れてください。

思い出しやすさの鍵-符号化特定性原理

頑張って覚えたはずなのに、どうしてもテストになったら思い出せない。
これ先輩に習ったのにな、なんで思い出せないんだろ?

誰もが悩む「記憶」の課題。
学習の分野の研究も「記憶」の研究から始まりました。

今回はその中でも「思い出しやすさ」に関わる理論「符号化特定性原理」についてお話します。

あなたの記憶力はちょっとの工夫で改善するのです。
まずはこの記事を読んでみてください。

符号化特定性原理とは?

符号化特定性原理とは、“覚える時”と“思い出す時”の文脈・手がかりが一致しているほど思い出しやすくなる、という原理です。

記憶についての世界的権威であるTulvingによって提唱され、エピソード記憶精緻化の理論とも結びついています。
と、まあこんな話は置いておき、「実際どういう現象?」に答えていきましょう。

符号化特定性原理の例|母に頼まれたおつかい

例えば、おつかいで何を頼まれたかを忘れたとしましょう。
スマホでメモをしていましたが、バッテリー切れです。当然LINEもできません。
電話番号を覚えていないので、公衆電話を見つけても意味がないです。

さて、どうしますか?

選択肢Aは、諦めて帰ること。間違ったものを買うくらいなら“おつかいもできないヤツ”のレッテルを貼られに行きましょうか?

選択肢Bは、頑張って思い出すこと。

しかしそもそも「忘れた」と気づいたということは、すでに思い出そうとしたのでしょう。これ以上どうすればいいのでしょうか?

ここであなたは、大学で習った「符号化特定性原理」を思い出します。

あなたはスーパーを歩き回りながら、おつかいを頼まれた状況を思い出していきます。「何を頼まれたか」ではなく、その状況を思い出すのです。

話題は母親の友人が作ったという何らかの料理の話。でも料理は思い出せません。
しかし頼まれたものはその料理の材料だということは思い出せました。

そこで、スーパーを歩くあなたの目にパスタが飛び込んできました。

「きのこたっぷりバター醤油スパゲティだ!」

そのためにしめじと舞茸、あと大葉を買ってこいと言われたのでした。
頑張って思い出したおかげで、“役立たず”の烙印を押されることもなく、あなたは最高のパスタにありつけます。

符号化特定性原理の解説

符号化特定性原理の解説に入る前に、記憶の流れについて復習しておきましょう。

認知心理学では、記憶を三つのプロセスに分けて考えます。

① 符号化:覚えるプロセス
② 貯蔵:覚えておくプロセス
③ 検索:思い出すプロセス

符号化特定性原理の“符号化”は、この第一段階を指しています。

そして符号化のとき、私たちは覚えようとするものの意味だけを記憶しているわけではありません。
覚える状況、時間、先生、感じた意味、連想したイメージ。
それらをエピソード記憶と読んだりします。

また検索のとき、私たちは“手がかり”を用いることがあります。
記憶はネットワークのようにお互い繋がっているので、目的の記憶の周辺を活性化することで思い出そうとするのです。

符号化時の「エピソード記憶」、検索時の「手がかり」。
この二つが一致しているほど、検索がしやすくなる。
それが符号化特定性原理なのです。

上の例では、まず母親との会話を思い出すことで、符号化時の状況を再現していきました。
加えて、パスタを見つけたことで、その「手がかり」が符号化時の記憶を刺激し、思い出すことができたのです。

符号化特定性原理、わかったでしょうか?

符号化特定性原理と精緻化との関連性

精緻化という記憶のテクニックの原理みたいなものがあります。

これは覚えたいことを様々な情報・イメージと関連付けていくことで記憶しやすくするものです。
イメージ化してみたり、ストーリーにしてみたり、場所と関連付けてみたりなどいろいろな方法があります。

この原理、実は面白いです。

記憶対象をXとして、本来あなたはXだけを覚えればいいのです。
メモリ容量を考えた時、Xだけを覚えるほうがコスパいいですよね。

しかし実際にはXに対してY・Z・V・W……と、情報を増やしていったほうが覚えやすい(思い出しやすい)のです。
これが人間とコンピューターの違うところですね。保存ではなく、検索に焦点を当てると納得しやすいですが。

符号化特定性原理はこの精緻化の正しさを支えています。
意味はもうわかりますよね?

符号化特定性原理で記憶力アップ

では最後に、符号化特定性原理を具体的なテクニックに昇華しておきましょうか。

意識することは符号化時と検索時で一つずつです。

覚える時(符号化時)

覚えるときには、できるだけ多くの情報を貼り付けておきましょう。
あとで手がかりに出会う可能性を増やすのです。

ただし、一つ注意です。
情報は縦横無尽に貼り付けてしまうと混乱してしまい、逆に思い出せないという結果になりかねません。
ものによっては困ります。

レベルが上がってきたら、場所方などの記憶術を習得することで、そのリスクを回避しましょう。

思い出す時(検索時)

思い出すときには、直接思い出そうとするだけでなく、その周辺の記憶を刺激できないか試してみましょう。
覚えたタイミングの記憶を再現するのが一番です。

また、手がかりを準備しておくのも手です。
どこで思い出すかがわかっている場合、そこに手がかりとなるものを置いておきましょう。

テストで使う場合は、筆記具や時計、教室に関連付けておくのもありです。

ちなみに学生の皆さんは、テスト勉強を教室でやると、自動で手がかりが増えるのでいいかもしれません。

記憶の原理、記憶の技術

認知心理学を筆頭に、記憶の原理はどんどん明らかになっていきます。
LearnTernでも、記憶関連の記事を多く挙げています。

記憶は技術です。

記憶力は学ぶことで上がります。

興味がある人はぜひ、他の記事も読んでみてください。

 

この記事の内容を一週間後に思い出せるようにしてみよう

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