今回のLearnTernでは「期待×価値理論」を紹介します。
実は過去の記事でも期待理論・価値理論それぞれを解説したことがありますが、今回はダイジェスト版でのお届けです。
動機づけに関する代表理論。頭に入れておきましょう。
「やる気」の上がり方
「動機づけ」というのはざっくり言うと「やる気が上がる要因」みたいなものです(超ざっくり言ってます)。
やる気、上げたいですよね。
私たちは良くも悪くも、やる気に振り回されて生きています。
学習にも仕事にも大事なことです。
心理学の世界では「動機づけ」として、やる気がどのように生まれたり上がったり落ち込んだりするのかを研究しています。
今回紹介する「期待×価値理論」は数多ある動機づけの理論の中でもわかりやすく、かつ汎用性があり、さらには私の好きな理論です。
ダイジェストで学んでおきましょう。
期待×価値理論とは
期待×価値理論は「動機づけは『期待』と『価値』の積で決まるよ」という理論です。ざっくり言ってます。
わからないのは「期待」と「価値」、あと「積」ですかね。
順番に解説していきます。
「期待」とは
「期待」は「自分がその課題をできそうだと思っている度合い」のことです。
例えば跳び箱があったとします。
運動不足なあなた(?)でも、7段くらいならなんとかなりますかね。
でも20段とか積まれたら困ります。「ムリだ……」と思ってしまうかもしれません。
この「できそう……」「ムリ……」が期待の正体です。
「価値」とは
「価値」は「その課題をクリアするのは自分にとって良いことだと思っている度合い」のことです。
跳び箱に取り組むことで「運動不足解消」「楽しい」「モテる」などのプラスの価値を得られると考えていればやる気が上がります。
逆に「疲れるだけやん……」「私の人生に関係ないし……」と思っていればやる気は上がりません。
その課題や目標をクリアする主観的メリット。それが「価値」です。
「×」の意味
「期待×価値」の意味、わかりますか?
わかる範囲で言語化してみましょう。
……たぶんしてないと思いますが、説明を読む前の自分の理解を確認するのは大切なことです(→「知的好奇心の利用」)。習慣づくと強い。
では話を戻しまして「×」の意味です。
期待×価値理論の特徴は、動機づけを積の形で表していること。
「2×2=4」ですが、「2×(-2)=-4」ですよね。
つまり「期待」と「価値」のどちらかがマイナスの場合、動機づけは高くならないということです。
「跳び箱20段跳べる」と思っていても「跳び箱とかダサいわ……」と考える人はやる気なんて上がりません。
「あの子、跳び箱跳べる人が好きって言ってた」という人でも「5段もムリ。骨折る」のであれば、やる気は上がりません。
シンプルですね。
ちなみに「(-2)×(-2)=4」ですが、期待×価値理論にそのような原理はないので注意してください。
期待理論&価値理論ダイジェスト
「期待」と「価値」それぞれについても、より詳しい理論があります。
ここからはそれぞれについてダイジェストで紹介していきましょう。
期待理論ダイジェスト
期待理論では「期待」がどのように形成されるのか、どのような要因があるのかを説明しようとしています。
自分の「期待」を下げてしまっている原因を見つけることができれば、取り除くこともできるかもしれません。
ちなみに「自己効力感」や「学習性無力感」も期待理論グループの仲間です。
価値理論ダイジェスト
価値理論では「価値」を「価値の方向性」と「心理的距離」で分類したり、「価値の源泉」によって分類したりしています。
価値のフレームワークを知っておくことが、新たな価値の発見に繋がるかもしれませんね。
「学習動機の二要因モデル」なども価値理論グループと言えるでしょう。
シンプルな期待×価値理論
期待×価値理論は非常にシンプルな理論です。
「イマイチやる気が上がらない」ものと「めっちゃやる気ある!」ものを取り上げて、それぞれの「期待×価値」を分析してみれば面白いと思います。
やる気を下げているポイントがわかれば対策もできます。
シンプルな理論を使って、面白い人生をつくっていきましょう。
やる気があがらない課題の「期待」と「価値」を書き出してみる