今回のLearnTernでは、「流動性知能と結晶性知能」についてお伝えします。
知能は学習者にとってやはり気になるキーワード。
二種類の知能を理解して、知能を鍛えるトレーニング方法を知っておきましょう。
知能の正体を答えられますか?
知能って何かわかりますか?
なんとなくわかるとは思います。
いわゆる「IQ」とかですよね。
知能が高いほど学習でも仕事でもパフォーマンスが高いと思われるでしょう。
実際、知能が高いほどパフォーマンスも高くなる傾向にあります。
しかし、知能の正体というのは意外とよくわかっていないものなんですよね。
IQについても一つの物差しでしかなく、その指標を疑問視する声もあります。
研究者達も知能の正体を研究してきています。
そのうちの一人、Cattellは「人間には二種類の知能がある」と言いました。
知能の種類について勉強しておくことで、自分の知能・能力をどのように鍛えていけばいいのかわかるようになります。
成長マインドセットと固定マインドセットの記事でもお話しましたが、知能というものが努力で成長するのか、それとも固定的なものなのか、その考え方によって、学習効率は大きく変わってくるんですよね。
流動性知能と結晶性知能の二つを学んで、どの知能をどういう風に鍛えていけばいいのか、考えていきましょう。
流動性知能と結晶性知能
「流動性知能と結晶性知能」はCattellによって提唱されたものです。
流動性知能は、計算力や論理的思考力
結晶性知能は、世界に対する知識、経験、技能の手順、メンタルモデル
基本的にはこんな感じです。
経済学とか知っている人なら「フロー」と「ストック」でなんとなくイメージしてみてください。
結晶性知能はストック、どんどん溜めていくものです。
対し流動性知能はフロー、問題解決時に出てきて活躍するものです。
それぞれもう少し詳しく見ていきましょう。
流動性知能(フロー)とは
-論理的に考える
-計算する
-関係を把握する
-抽象化する
流動性知能はいわゆるIQに近いイメージかもしれません。
初めて見た問題を解決したり、ひらめきを利用したり、新しいものを創造したりするのはこの流動性知能です。
そして流動性知能は、老化と共にだんだん衰えていくとされています。
ショッキングな事実ですね。
でも大丈夫。
あとで対策をご紹介します。
結晶性知能(ストック)
-知識
-経験
-手順
-メンタルモデル
結晶性知能は、もしかすると知能のイメージとは離れているかもしれません。
しかし、知識がある人のほうが問題解決や創造のときもパフォーマンス高い傾向にあるでしょう。
そして結晶性知能は、どんどん増えていくものです。
生きていくほど、知識や経験は増えていくはずですよね。
「でも年齢が上がってパフォーマンスが落ちている人もいるじゃないか」って?
ここで流動性知能と結晶性知能の関係を見てみましょう。
実際の問題解決場面において、結晶性知能は流動性知能によって使われます。
つまり、流動性知能が衰えてしまうことで、せっかく増えている結晶性知能を有効活用できなくなってしまうのです。
全体的に見ると、知能が下がっているように感じるわけですね。
知識はめっちゃあるけど、問題が起こった時に役に立たない人。
このタイプの人は流動性知能が低いのです。
知能は鍛えられるのか-流動性知能のトレーニング
流動性知能と結晶性知能についてわかってきたでしょうか?
-知能には二種類ある
-流動性知能は衰えていき、結晶性知能は増えていく
-結晶性知能は流動性知能によって使われる
これくらいが理解できていれば先に進みましょう。
で、本題です。
「知能って、鍛えられるの?」
――鍛えられます。
結晶性知能は上がっていくので、別にいいですよね。
問題は流動性知能。
結晶性知能がいくら上がっていっても、こいつが衰えていったら意味ありません。
そこでいくつかのお話をしますね。
脳の可塑性の話
脳の可塑性というものがあります。
環境に応じてその在り方を変えていく、的なイメージです。
脳というものは使わなければ衰えていきます。
知能も同じです。
筋肉みたいなものなのです。
つまり、
「頭を使っていれば」流動性知能の維持・成長が期待できる
ということになります。
しかしこれではあまりに曖昧。
なのでもう少し踏み込んだ話をしましょう。
ワーキングメモリの話
流動性知能の主な要素とされているのが「ワーキングメモリ」です。
ワーキングメモリは、一度に覚えておける量、そして操作できる量です。
よく机に例えられます。
ワーキングメモリが小さい人は、作業机が小さいのです。
一度に広げられる資料は少なく、PCとタブレットの同時操作もできません。
対してワーキングメモリが大きいひとは、作業机が大きくなります。
資料を同時にたくさん広げられ、ディスプレイは3つ、アプリケーションも同時に立ち上げて操作することができるのです。
どっちのほうがパフォーマンスが高くなるか、わかりますよね?
流動性知能はこのワーキングメモリによって変わるとされます。
つまりワーキングメモリを鍛えればいいと。
ではワーキングメモリは鍛えられるのか?
その答えが「Nバック課題」です。
一応、実験的には「ワーキングメモリは鍛えられる」とされています。
被験者が限定的だったりと、結論を疑問視する声もありますが、基本的には知能は鍛えられると考えていいでしょう。
Nバック課題を説明するのは面倒なのでやめます。
詳しく知りたかったら検索してみてください。
ここでは代わりに「DNB」と呼ばれるアプリを紹介します。
メンタリストDaiGoさんが制作に関わったものですね。
これでNバック課題を体験できます。
最初は難しいですが、継続することでワーキングメモリが大きくなっていきます。
――あ、マジです。
ぜひお試しください。
流動性知能と結晶性知能を理解しよう
今回は流動性知能と結晶性知能についてお伝えしました。
流動性知能はフロー、思考力や問題解決力の根幹となるもの。
結晶性知能はストック、知識やメンタルモデル。
結晶性知能は上がっていくものなので、流動性知能を鍛えることができれば、知能というのは上げられるのです。
ワーキングメモリを増やすことでそれが実現できます。
あと、やっぱり頭を使うことですね。
コンフォートゾーンにいては成長は期待できないのです。
最後にもう一度。
「知能は鍛えられるのです」
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