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【第3回】知識の構造を考えてみる【認知心理学のすすめ(全5回)】

【第3回】知識の構造を考えてみる【認知心理学のすすめ(全5回)】

認知のアーキテクチャを探求する

「認知心理学のすすめ」第3回です。
今回は「知識の構造-認知のアーキテクチャ」について考えていきます。
どのように私たちの頭の中に知識が保持されているのか、それはどのように使われるのかを研究する分野になります。
知識の構造に関する研究には「意味ネットワーク」「活性化拡散モデル」「プロダクション・システム」「ACT-R」など様々なものが提案・研究されていますが、今回はその中でも比較的馴染みやすいもの「スキーマ」と「スクリプト」を見ていきます。
では認知のアーキテクチャ探求の旅に出かけましょう。
【認知心理学のすすめ】

「スキーマ」と「スクリプト」

まず「スキーマ」です。
スキーマは、知識を一定のまとまりとして構造化して持つという考え方です。
例えば「」というスキーマには目や鼻、口などの知識も入っているわけです。
スキーマは抽象的な構造として存在しており、このスキーマをもとにして具体的な顔を認識したりするのです。
買う」というスキーマの場合、「買い手(誰が)」「商品(何を)」「売り手(誰から)」「価格(いくらで)」「数量(いくつ)」などのスロット(枠)があります。
「新しい靴買ったんだよ~」とご機嫌な友達。
これにより「買う」スキーマの中で「商品」「買い手」スロットが埋められます。
このとき、残りのスロットは空白ではなく、抽象的な状態でキープされています。
結果、いちいち全てのスロットを意識することなく物事を十分に理解することができるのです。
次は「スクリプト」です。
スクリプトは、“台本”のようなものです。
スキーマと同じように抽象的な特徴を持っています。
よく例として挙がるのはレストランでのスクリプト。
レストランに入る→席を探す→座る→メニューを見る→注文する……
このような一連の流れを構造化して保存してあるのがスクリプトです。
スクリプトには登場人物や場所に関する情報も入っています。
席に着いたあなたに近づいてくる人を「店員」だと認識できるのはスクリプトがあるからなのです。
「スキーマ」は知識のセット、「スクリプト」は知識の台本。
どちらも抽象概念を活用した良いモデルです。
  

スキーマ・スクリプトの応用① 「使いまわし」

  
さて、スキーマとスクリプトについて基本的なことはわかったと思います。
では、このスキーマとスクリプトをどのように応用できるでしょうか?
考えてみてください。
スキーマとスクリプトの特徴は抽象的な枠組みを持っていることです。
プログラミングをやっている人だとピンと来ているかもしれません。
スキーマやスクリプトは抽象→具体で用いられていることを示しました。
この特徴から導き出せる活用法は「使い回し」です。

学習での「使い回し」

例えば英語の学習の中で学んだスキーマ。
このスキーマはスペイン語の学習の中で使えないのでしょうか?
英語-時制スキーマには「現在形」「過去形」「未来系」「進行形」「分詞」「語尾変化」「助動詞との関係」…などのスロットが存在します。
英語が初めての外国語学習だった人は、これらをテキストに従って進めていたと思います。
しかしすでに英語学習でこれらのスキーマを習得している人は、スペイン語学習において即座にこのスキーマを使ってみることができるのです。
とりあえず当てはめてみて、修正することでスペイン語用のスキーマになります。
スキーマを意識的に使うことで学習は効率化されるのです。

問題解決での「使い回し」

スキーマの考え方は問題解決にも役立ちます。
問題スキーマというものがあるのです。
例えば数学
問題の中では、未知数や条件式が与えられています。
これらの構造から今まで解いたことのある問題スキーマを探し出すのです。
見つかったら、あとは調整しながらその時の解法を当てはめれば簡単です。
多くの問題スキーマを保持し、体系的に管理すること。これが問題解決力の向上につながるのです。

スキーマ・スクリプトの応用② 「情報伝達」

  
スキーマやスクリプトは情報を人に伝えるときにも役立ちます。
プレゼンテーションや授業はもちろん、日常の会話やビジネスの交渉などで使えるのです。
伝え手である自分だけでなく、相手にも当然スキーマやスクリプトは存在します。
まず前提として、自分が伝えたいことに関するスキーマを共有しているか、を考えなければなりません。
共有していなければこのスキーマを伝える努力をすべきです。
逆に共有しているのであれば、上手く省略をつかって聞き手の注意をコントロールできます。
また職場で新人に仕事を教えているとき、どこまでスクリプトが共有されているのかを考えるようにすると上手くいき安いです。
さらには、一般的でかつその仕事に似ているスクリプトを考え、それを利用することもできます。
スキーマやスクリプトを上手く使えば「良い教師」「良い先輩」「良いプレゼンター」になれるのです。

知識の構造を知ること

今回は、「スキーマとスクリプト」について見てきました。
スキーマやスクリプトの性質を知っておくことで、それを利用して学習や仕事を効率的に進めることができるのです。
このように知識の構造を知ることは、人の認知をコントロールする基礎の1つになります。
他の構造も知りたくなりましたか?
身の回りのスキーマやスクリプトを考えてみる

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